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 私たち人間と共に暮らすコンパニオンアニマルと呼ばれる動物たち。彼らは、家族や伴侶のようにかけがえのない存在として、私たちに多くの影響を与えています。今、そうした人と動物との間に生まれるさまざまな効果を、福祉施設や医療、教育の場に生かそうとする「CAPP活動」が、全国各地で行なわれています。

CAPP活動って、どこが主宰して
誰が何をしているの?


  CAPP活動とは、「コンパニオン・アニマル・パートナーシップ・プログラム(人と動物とのふれあい活動)」の略名で、日本動物福祉協会(以下JAHA)が主宰するボランティア活動です。JAHAは、動物病院を開設している獣医師を中心とした厚生省認可の社団法人。人と動物との絆を大切にする世界共通の理念に基づいて社会活動を行なっています。
  その社会活動のひとつであるCAPPは、日本では昭和61年に横浜市の老人福祉施設で第1回の訪問活動が行なわれ、以後、全国各地に広まりました。獣医師と動物、ボランティア(飼い主)が施設や学校、病院などに訪問し、ふれあいの場を設けています。

 



高橋俊明さん
獣医師・酒田市東大町在住。
東京都生まれ。日本獣医生命科学大学(旧日本獣医畜産大学)卒業。平成元年、酒田にて「たかとし動物病院」開院。CAPP活動は、平成14年に開始。(社)日本動物病院福祉協会(JAHA)会員。



まぁくは、何万頭に1匹という確率で活動に参加できる超マイペース猫ちゃん。

おっとりマーシー。CAPPにうさぎが参加するのは、全国的にもめずらしい事例です。



ラブラドールのラッキーは1期生。いつも元気いっぱいです。お父さん大好き!


今まで、たぶの木学園のCAPP活動に参加してきたボランティアは8人。
動物は、犬、猫、うさぎの全部で9頭です。そのうち現役は3頭。利用者さんたちの人気者です。


毎年3月の「お礼の会」。利用者がボランティアと動物たちにプレゼントを贈呈します。

1期生のエルマーはこの活動が大好き!
先頭きって皆が待つ部屋に向かってました。

県内では、酒田市内の
知的障害者更生施設にて行われています。


  県内での取り組みは、酒田市宮野浦の知的障害者更生施設「たぶの木学園」が唯一で、6年前から、たかとし動物病院の高橋俊明さんをチームリーダーに、ボランティアと施設職員が連携をとりながら、毎月1回活動しています。
  活動日は、毎月第3火曜日の午後。毎回13名ほどの障害を持つ利用者が、希望者制で活動に参加しています。その活動日に向けた準備は1週間前から。高橋さんが病院で参加する動物たちの健康をチェックします。「動物たちに無理させてはいけませんから」と高橋さん。その後、前日には、飼い主の皆さんが動物をシャンプーして、活動当日に控えます。
  私たちが見学にうかがった5月の活動日には、犬のローラとクーちゃん、うさぎの2代目マーシーの3頭と、3人のボランティア、ボランティアリーダーで高橋さんの奥様の恵美さん、そして高橋さんの計5人が、たぶの木学園に集まりました。活動を始める前に、別室で施設職員の佐藤益美さんから、その日の参加者たちの状況などを教えてもらいます。そして、利用者たちのいる活動室に、動物を連れて移動。11名の利用者たちは、部屋の中央に敷いてある絨毯やイスに座って、明るい笑顔で迎えてくれました。簡単なあいさつをした後に、ふれあい活動スタート。早速、それぞれが思い思いに動物を囲んでは、撫でたり抱っこしたりしていました。その後も、ボランティアと利用者たちが楽しそうに会話したり、利用者同士で触り方や抱っこの仕方を教え合ったり、動物に近寄らず窓際にいる人に皆で声をかけあったりと、とても賑やかに時間が過ぎていきました。30分が経過し、CAPPメンバーが退出した後、利用者たちは体についた毛を取り、うがいと手洗いをして終了。メンバーはまた別室に戻り、反省会と次回の確認をして解散。こうして月1度の訪問活動が終わります。



CAPP活動には、
誰でも、どんな動物でも参加できるの?


 CAPPに参加するには、まず第一に、その動物が飼い主のもとで幸せに暮らしていること、動物の性格が穏やで感情の起伏がないこと、予防接種などの正しい健康管理がきちんと行なわれていることが条件となります。また、ボランティアとなる飼い主にも、自分の動物のストレスサインがわかっているか、近所づきあいの配慮ができているかなど、さまざまな条件があります。これらを総合的に判断して参加者を集めるのが、チームリーダーである獣医師の役目。高橋さんは、自分の病院に通院している人の中から声をかけています。「まずは人と人との信頼関係です。いくら動物が適していても、私が飼い主さんをよく知らなかったり、人柄をわかっていてもその方が活動に抵抗があったり、仕事の都合で活動できなかったりする場合もありますし」。
 高橋さんが声をかけ、興味を持ってくれた飼い主さんは、動物を連れずに、たぶの木学園に活動の様子を見に行きます。「飼い主が緊張すれば動物も緊張してしまいます。ほかの動物たちの活動をサポートしながら、先輩ボランティアさんや利用者さんと顔馴染みになってもらっています」。
  同時に動物の適正テストを行います。知らない人がたくさんいてもいつも通りでいられるか、他の動物をみて吠えたり威嚇したりしないかなど、テストは8項目。それらをクリアしたら、お腹の大腸菌やサルモネラ菌などの病原菌の検査をして、タイミングをみながらCAPPデビューを果たします。「最初はボランティアの皆さんも、ドキドキだと思いますよ。だから最初は短時間からスタートして、ちょっとずつ時間を延ばして、撫でてもらう、抱っこしてもらう、と慣れてもらっています。利用者さんたちを守ると同時に、動物たちのことも守らなきゃいけないですからね」と恵美さん。

 





CAPP活動について

1986年5月〜2007年3月の活動実績。
訪問回数:8,256回
参加獣医師:15,651人
参加ボランティア:71,562人
参加動物:
犬50,541頭、猫13,424頭、その他5,302頭
(1)AAA 動物介在活動
動物とふれあうことによる情緒的な安定やレクリエーション能力の向上を目的とした活動。日本の場合多くがこれ。
(2)AAT 動物介在医療
医療従事者の主導で、医療現場で行なう活動。この場合、動物は治療行為の補助療法を行なう。国内でも徐々に増加中。
(3)AAE 動物介在教育
小学校などでの教育を目的にした活動。


(スプーン2008年6月号に掲載)
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