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1.スイカはたびたび登場する真生さんのお気に入りモチーフ。
2.安井賞 賞候補作品(本間美術館蔵)
3.酒田市内を流れる新井田川のイトヨからインスパイアされた作品。
4.小さかった頃の娘さんに贈った作品。
5.現在開催中の「最上川展」出品作品。横5mにも及ぶ超大作で、トタンに描かれている。
6.個展「十七月」(渋谷西武)に出品したオブジェ。会場に訪れたたくさんの子どもたちが中に入って遊んでいたそう。
7.この「夕映え」シリーズは、現在、スペインのバルセロナにある。





酒田の風景にたどり着いた時、
僕の絵の世界が自然と見えてきたんです。


 毎月、「SPOON」の表紙を飾る、何とも不思議でどことなく懐かしさを感じさせる作品の数々。巻頭ページに寄せられる故郷への静かなエッセイ。これらは、酒田市出身の画家、佐藤真生さんが「SPOON」掲載用にと、毎月東京から送ってくださっているものです。2006年4月号から始まったこの企画も、今月号で25回目。4月上旬、本間美術館の「最上川展」出品用作品を持って帰郷した真生さんに、私たちは会いに行きました。
 

  さとう・まさお
昭和38年、酒田市生まれ。酒田東高校、東京学芸大学美術科卒業、同大学院修了。62年、独立展入選。平成2年、上野の森美術館絵画大賞展佳作賞。4年、「21世紀の旗手1992展」(マンリー美術館/オーストラリア)。5年、安井賞展・賞候補。9年、酒田での初個展「潭海への招待」(本間美術館/酒田)。10年、現代新書「恥と意地」表紙画担当(講談社)。18年、「作家の視展2006」(上野の森美術館)。ほか個展多数。東京在住。


母なる川、最上川に魅かれて

最上川展 〜ふるさとの情景〜
4月6日(日)〜5月8日(木)
(財)本間美術館


古くから舟運に活用され、地域の繁栄を築いてきた母なる川。この展覧会では、最上川に魅了され、その姿を描いた県内外の作家14人による20作品を紹介しています。金山平三や真下慶治、小松均、太田義一など、それぞれの眼で描かれた最上川の情景をぜひご覧ください。特に、佐藤真生さんの「船場町屏風」は横5mにもおよぶ超大作! 必見です。




  真生さんは昭和38年、酒田市光ヶ丘生まれ。4歳上のお兄さんの影響で、幼い頃から絵を描きはじめ、酒田東高校では美術部に入部します。美術の世界で生きることを決意したのは高校2年生の時でした。「顧問の斎藤豊先生の影響で、美術に対する考え方が大きく変わりました。正解か不正解かさえも定かでない美術の宇宙へ、自分を信じて飛び込んでいく、冒険のような感覚に魅了されたんです」。57年、東京学芸大学入学。美術教育を専攻し、毎日制作に励みます。「あの頃は本当にさまざまなことを試しました。おかげで、自分に向いてない表現方法もわかりました。それをくり返すうちに、酒田の風景に辿りついたんです」。59年、初期の代表的作品「北風景画」完成。以後、酒田の風景を題材に、作品を描き続けます。その3年後には、絵にサーカスのイメージも加わるようになりました。「実はこのイメージは、山王祭りの日和山公園なんです。祭りになると公園には、サーカスや見世物小屋が並んで、何とも妖しげな雰囲気でした。でも次の日になると、白日夢だったかのようにいつもの姿に戻っている。そういう夢や幻みたいな感覚を絵に入れてみようと思ったんです」。

 62年、初めて出品した独立展で初入選。その頃から「譚」が制作の大きなテーマとなっていきます。「『譚』とは、過去から現代、そして未来に伝承されていく『はなし』のことです。かつて祖母がよく語ってくれた子ども時代の思い出話や地域の伝承は、僕にとってまるで近所で起こった昨日の出来事のように鮮明なものでした。自分の絵も、祖母の昔話のように、観る人にいろんな物語を感じさせ、伝えられていく『譚』でありたいと考えたんです」。

 学生生活最後の年、それまで描きためてきた自選作品100点による初個展を開催。目黒区立美術館に一斉に飾りました。「画家として生きる決意を固めるための個展でした。すると、初日の朝、恩師の斎藤豊先生が、誰よりも早く酒田から駆けつけてくれたんです。本当にうれしかったです」。同年、上野の森美術館絵画大賞展佳作賞受賞。翌年には、国内のみならず、パリやニューヨークなど、海外にも作品が紹介されました。その後も、安井賞展賞候補に選定されたり、酒田での初個展が開催されたりと、画家・真生さんの活躍は大きく飛躍していきます。「今はトタンに絵を描いたり、和紙や最先端素材と、さまざまな素材に挑戦しながら、自分の表現の幅を広げようと思っています。まだまだ画家としての僕は若いですからね(笑)」。

 最近、真生さんは故郷へのある思いを抱いているそう。「これからの庄内の風景のため、『小さな作品1つ=植林1本』というようなチャリティー運動ができないかなと考えています。例えばクロマツとか桜とかの植林です。多くの人、また自分にとっての原風景である美しい庄内を、大切にしていきたいんです」。

 ひとりの内なる風景が、時を越え、海を越え、さまざまなものにつながっていく。真生さんの絵は、人間のイマジネーションの不可思議さと豊かさが詰まった、宝庫のようです。

(スプーン2008年5月号に掲載)

長谷川結=取材・文
text by Hasegawa Yu
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