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高校の図書館ってどんなとこ?
高校は、教育目的や校風が学校によって、まったく異なるため、学校図書館にもその特色が表れています。
今回は、学校司書が奮闘している酒田工業高校と、司書教諭の先生と学校司書が活躍している鶴岡中央高校を、ピックアップしてご紹介します。

山形県立
酒田工業高等学校
小学校時代、学校司書から読書の醍醐味を教わった
ことをきっかけに、自らも司書の道に進んだ
榊原有友子さん。酒田工業高校の学校司書として
より良い図書館づくりに奮闘する姿を追いました。

昭和37(1962)年、酒田商工高等学校から独立して開校。平成17(2005)年度の学科改編で、機械技術科・電子機械科・情報システム科・土木システム科・環境エネルギー科の5学科を設置。生徒数585名(男子561名、女子24名)。学校長・兼子健三郎。

  生徒たちの切り絵作品が飾られた古い本棚。窓の向こうには、雪化粧した鳥海の峰。酒田工業高校の図書館には、どこか懐かしく、落ち着いた雰囲気が漂います。
  この図書館の司書、榊原有友子さんは鶴岡市出身。幼い頃から絵本や物語に親しみ、進学先の朝暘第五小学校で、読書の面白さに目覚めます。朝暘五小では当時、図書館活用教育の推進に貢献した五十嵐絹子さんが、学校司書を務めていました。「私にとって絹子先生は、本を通じていろんなことを語り合える特別な人。先生のもとで読書の基礎を培うことができて、本当に幸せでした」。五十嵐さんの姿を見るうち、榊原さんの心には、学校司書への憧れが芽生えます。それから一途に夢を追い続け、図書館司書の資格を取得。山形県高等学校司書の採用試験に合格し、念願の学校司書の職に就きました。
 


飽海地区の学校司書が推薦する本を、特設コーナーで展示。入口の正面に配置したり、明るい色を使ったりと、生徒の目を引くための工夫を凝らします。
 
折り紙や切り絵が彩る
手作り感に満ちた憩いの空間

休み時間になると、図書館には生徒が息抜きにやって来ます。資格試験や部活動、受験勉強などで多忙な彼らにとって、友だちと話したり、本を読んだりして心を穏やかにできる図書館は、最高の憩いの場。「図書館に対する堅苦しいイメージを捨てて、気軽に足を運んでもらえるよう努めています」と榊原さんは語ります。

「『ずっと図書館さいっど、ヒマでね?』って聞く生徒もいて」と笑う榊原さん。一日の仕事の始まりは、新聞の書評チェックから。新しい本が届くと図書館システムにデータを入力し、バーコード類を貼る「装備」の作業をします。手作りの図書案内やポスターは、図書館周辺だけでなく、昇降口にも掲示するなどひと工夫。さらにブックガイドで情報を集め、本を注文します。「生徒の読書傾向を把握して、必要な本を揃えるんですよ」。こうして購入する本は、年間で約600冊にも及びます。
  榊原さんにとって、各クラスから選ばれる図書委員たちとの交流も、大切な活動です。空き時間に集まっては、文化祭用の作品制作や朝読書の準備など、楽しみながら熱心に取り組みます。「彼らとともに一つのものを作り上げていく喜びは、学校司書だからこそ味わえるものですね」。
  山形県のすべての公立高校に配置されている、専任の学校司書。その存在や重要性をより多くの人に広めていくことが今後の課題だと、榊原さんは感じています。「図書館にいつも司書がいるという環境は、全国的に見ても恵まれているのです。そのことを生徒だけでなく、保護者や地域の方々にもご理解いただいて、図書館という『宝の山』の活用法を、一緒に模索していけたらと思っています」。

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秋野栄美子=取材・文
text by Akino Emiko

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