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  変幻自在のダリアに魅せられて。
秋になると、羽黒町・松ヶ岡開墾記念館前庭に咲くダリアの花たちに逢うのが楽しみです。どんな方たちが育てているのかなと思っていましたが、育ての親はたった1人だと知って、驚きました。毎年、実生新種のオリジナルも誕生させている、松ヶ岡ダリアの育ての親、皆川渉さんにお話を伺いました。

松ヶ岡開墾記念館前庭に咲くダリアは約150種、350株。
色彩を考慮した植栽で、蚕室の障子の白に真紅の巨大輪がひときわ映えています。
 
松ヶ岡開墾記念館の
ダリアの栽培・育成者
皆川 渉さん
みながわ わたる・鶴岡市在住

昭和29年(1954)、鶴岡市生まれ。庄内農業高校、東京農業大学園芸化学科卒業。松ヶ岡開墾記念館前庭でダリアの栽培・育種を始めて20年になる。教科書取次供給所などを営む皆川庄吉商店の4代目で、音楽ビデオの制作も手掛けている。


いとしご

ミズゥ・ノアール

華恋

松ヶ岡で昨年誕生した実生新種に、昨年
誕生した双子の赤ちゃんの名前をつけました。写真は、成(なる)ちゃんと温(はる)ちゃん。
  松ヶ岡のダリア園で誕生した
オリジナルの実生新品種が、
美しい花を咲かせてくれます。

 松ヶ岡開墾記念館前庭のダリアは、毎年7月から11月初旬まで、色も形もさまざまに咲き競い、訪れる人の目と心を楽しませてくれます。幅21間、奥行き6間ほどの前庭に、約150種、350株のダリアが並び、1本1本、丹精込めて育てられています。このダリア園の育ての親は、鶴岡市にお住まいの皆川渉さん。少年時代から園芸が好きで、さまざまな植物を栽培してきましたが、特にダリアに熱中し、独学でダリアの栽培と育種を研究してきました。自宅で栽培していたダリアをすべて松ヶ岡に移し、ここで育てるようになってから、すでに20年になります。
  ダリアの花盛りを迎える10月には、毎年、鶴岡市の致道博物館で「ダリア名花展」が開催されます。これは、昭和27年に設立された「鶴岡ダリア研究会」(会長・松木正利、副会長・水野重昭)の「鶴岡ダリア名花展」の歴史を受け継ぐ形で、平成14年から新展示となり、皆川さんが松ヶ岡で育てたダリアが今年も約100種、1輪ずつ展示されました。
  10月初旬の晴れた日、松ヶ岡に皆川さんをお訪ねすると、さっそくダリア園を案内してくださいました。
  ダリアは、花全体がボール型をした「ボール咲き」、花弁が幾重にも重なった「デコラ咲き」、細長い花弁が外側に反り返っている「カクタス咲き」、花弁が幅広で丸みを帯びた「スイレン咲き」などがあり、それぞれにバリエーションが加わって、多彩な花型を作り出します。
  松ヶ岡のダリア園は通路をはさんで左右に分かれ、右手には在来品種の名花、左手には松ヶ岡で誕生した実生新種を中心に植栽されています。
  右手奥1列目には、真紅の「宇宙」「東天紅」「宙」と、デコラ咲きの「浮気心」、2列目には、白の「マルコムズ・ホワイト」など、巨大輪が並び、3・4列目には、セミカクタス咲きのフリル型「北斗」や、黄色の巨大輪「土俵入り」、橙色のインフォーマルデコラ咲き「天涯」などのほか、皆川さんが精魂込めた実生新種第1号「松岡姫」もあります。
艶やかで美しい「松岡姫」は花弁が内曲するインカーブドカクタス咲きで、花弁は赤、花底が黄、裏は白。「ギャラリーまつ」を主宰する酒井天美さんが命名されたそうです。
  左の花壇には、皆川さんが命名した「煌季」、体験学習として草取りや芽掻き作業を手伝ってくれる羽黒中学生が命名した「松ヶ岡プリンセス」「華恋」、映画監督の高山由紀子さんが命名した「小夜あねさま」などのスイレン咲きが秋の日差しを浴びて、可憐に華麗に輝いています。


自分が理想とする花型や色を追求して、ダリアを
作り出すことは、創造的な行為だと思います。


 自分の理想とする花型や色を追求して新種を作ろうと孤軍奮闘していた頃、ダリアの大家、鶴岡市の松木正利さんから紹介された、日本ダリア界の重鎮、千葉の小西勇作氏と、秋田国際ダリア園園長で日本ダリア会会長の鷲沢幸治さんに師事。小西氏から譲られた「夢睡蓮」は、新種作出のための大切な親木の1つです。「ダリアは複雑怪奇な雑種ですから、変幻自在で、色、形のバリエーションが豊富なため、栽培だけでなく、育種も楽しめること。そして、何ともいえない造形美。それがダリアの魅力です。花がシンメトリーで、中心から対称展開する整然とした美しさがあり、自分の感性にピッタリきました。最近はスイレン咲きのみずみずしさに惹かれて、新品種育成に力を入れています。ダリアは、球根の越冬が難しいので、品種を守って育てあうダリア仲間が大切です。自分の知識は惜しみなく提供しています。どこで咲いたって、きれいに咲いてくれたらうれしいですからね」。
  記念館の受付近くに、鶴岡市の水野重昭さんが作出された真紅の名花「日曜日」が咲いていました。「庄内の鶴岡には、こういう血が脈々と流れてるんですよ。私も、その遺伝子を引き継いでいきたい」と皆川さん。ダリア仲間は北庄内にも増えて、皆川さんのダリアは、全国から注文を受けるようになりました。ダリアを愛する人々の心が、大きく豊かに広がっていくことを祈っています。

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佐藤晶子=取材・文
text by Satoh Akiko
ダリアの写真=皆川渉

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