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お手本は「ニジェールの隣人」。
抱え込んだ気持ちを打ち明けて
元気になれる居場所を作りたい。
派遣先 >>> ニジェール共和国
原田靖子さん Harada Yasuko 三川町在住・養護教諭

平成15年7月から2年間、アフリカのニジェール共和国で活動した原田靖子さん。現在は羽黒第4小学校の養護教諭として子どもたちの健康を支えています。

 中学生の頃、教師や看護師の仕事に憧れを抱いた原田さんは、大学時代に養護教諭の資格を取得。卒業後は地元に戻り、教員採用試験に挑むかたわら、小学校の臨時教員として勤務しました。しかし、「正規採用」という難関を前に、自分の進路に焦りと不安を抱くようになります。「そんな折、海外経験の豊富な方とお会いする機会がありました。お話を聞くうちに、日本にいてはわからない“世界の今”を、自分の肌で感じたいという想いが、ふと芽生えたんです」。さらに、「自分を変えたい」という願望が膨らむにつれ、原田さんの目は海外へと向けられました。平成14年秋、養護の経験を生かすべく青年海外協力隊に応募し、見事合格。派遣前訓練を経て、翌年七月、ニジェールへ赴きました。

  原田さんが携わることになったのは、ドッソ州で行われている「ドッソ学校保健プログラム」です。子どもたちに保健衛生の知識を身につけてほしいという願いから、二つの活動を柱にして実施されています。

  まずは、「保健衛生授業の導入」。これは、地元の視学官(教育指導主事)とともに、授業のカリキュラムを組むことから始まります。子どもたちが楽しく学べるように、教材にはイラストや人形を使ってひと工夫。
それらがまとまったら、視学官が学校の先生向けに講習会を開催します。「授業の進め方がわからない先生も多いので、講義やグループワークを織り交ぜて解説するんです」。ここで学んだ指導法を生かして、先生たちは各学校で週1回の授業を行いま
す。授業の内容は、「トイレ」「環境衛生」「マラリア予防」など全8テーマ。うがいや手洗いの基本から、毎日の掃除の方法まで丁寧に指導します。授業の様子は、隊員と視学官が定期的に巡回してモニタリングし、そこで見つけた問題点を次年度のカリキュラムで改善していきます。

  そしてもうひとつの柱が、「学校保健委員会の設置」です。地域の代表者や保護者と会合を開いたり、生徒の啓発劇を発表したりして、地域のみんなが衛生活動に取り組めるように促します。これを継続し、衛生への意識を広く根づかせることが、プログラムの大きな目的なのです。

ニジェールの人々の衛生意識を向上させるため、レベルの高い任務に挑み続けた2年間。心の支えは、現地で過ごす何気ないひとときの中にありました。

  プログラム開始2年目に赴任した原田さんは、日を追うごとに、自身に課せられた責任の重さを思い知りました。「現地の関係者にとって、日本の隊員は専門家。より良い保健教育を目指して、彼らとレベルの高い議論を交わさなければなりません。でも語学が苦手な私は、意見をうまく伝えられずに、いつも苦労しました」。力不足に悩み、自分自身と真正面から向き合った2年間。その中で心の支えになったのが、近隣の人々との交流でした。1日のほとんどを家の外で過ごすニジェール人にとって、ご近所づきあいは大切な生活の一部。家事をしたり、お茶を飲んだりしながら、時間をかけて楽しくおしゃべりをします。外国人である原田さんにも、気さくに声をかけては、たわいのない話題で盛り上がりました。「慰められているわけでもないのに、誰かとつながっているだけで、すごく元気をもらえるような気がしたんです。私たちがそばにいるから、大丈夫だよって」。

  任務を終えた原田さんは、帰国後、念願だった正規の養護教諭に採用されました。「保健の先生」として、ニジェールでの経験をどんなふうに生かせるだろうと、自問する日々は続きます。「目下の課題は、保健室にやって来る子どもたちが、自分の気持ちを素直に話せるような空間を作ることです。そして普通の会話を交わしながら、心の機微を感じ取れるようになりたいと思います。お手本は、私をいつも見守ってくれたニジェールの隣人。彼らが私の心をほぐしてくれたように、安らぎを与えられる存在でありたいですね」。

(スプーン2007年10月号に掲載)

秋野栄美子=取材・文
text by Akino Emiko
 
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下痢やコレラ、マラリアなどの感染症を防ぐためには、基本的な衛生対策が欠かせません。学校では、うがいや歯みがきの仕方などを実践。
視学官や学校の先生とともに、わかりやすい保健教育を目指しています。



砂の大地と、灼熱の太陽。
厳しい環境を生きる人々の心には
イスラムの教えが根づいています。


 
  楽しくおしゃべりしながら、野外で炊事をします。
サハラ砂漠の南に位置するニジェール共和国は、人口1400万人(2005年現在)。国土の3分の2が砂漠で、北部は乾燥地帯、南部は多湿地帯というサヘル気候に属します。1960年までフランスの植民地支配下にあったため、公用語はフランス語ですが、街ではザルマ語やハウサ語などの現地語が飛び交います。人口の約75%がイスラム教徒で、1日5回の礼拝は日常生活に欠かせない儀式です。食事はヒエやとうもろこし、米などの穀物が中心。基礎教育や保健衛生の普及、貧困の改善が重要な課題で、日本では1984年から青年海外協力隊を派遣し、農林水産や教育文化など各分野で援助を行っています。

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