古くから愛飲されてきた紅茶の魅力
高貴な味と香りの奥深い効果とは?

ところで、紅茶といえば甘いケーキやクッキーなどお菓子とのペアリングを連想しますが、お料理とのペアリングによって紅茶のさらなる魅力が引き出されるのだそうです。紅茶に含まれるタンニンは肉類の脂肪をすっきりと流してくれるので、肉料理にはタンニンを多く含むダージリンやアッサムのストレートティーがおすすめ。バターや油を使った魚料理や天ぷらには、くせの少ないセイロン紅茶・キャンディーが脂肪を分解し、口の中の油をすっきりと洗い流してくれます。また、チーズの個性的な香りをいかすにはアッサムのミルクティー。そしてスモークサーモンには燻製香茶・ラプサンスーチョンという組み合わせを知っていれば、本場イギリスの一流レストランでオーダーしても一目置かれること間違いなしです。
お湯を注いだポットの中で茶葉が対流運動することをジャンピングといいます。
茶葉を開いて風味を抽出するために起こすジャンピング。これには湯温と注ぎ方が決め手となります。お湯の適温は95〜98度。目安はお湯の表面がポコポコと波打つぐらい。そのお湯を、ポットの口より30センチほど高い位置から叩きつけるように注ぎます。 |
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また、忘れてはいけないのが“紅茶と水の関係”。硬水と軟水では、同じ茶葉でも違う味わいになってしまいます。例えばイギリスの中軟水は、適度な硬度が紅茶の渋みを抑え、味や香りをマイルドにしてくれるのに対し、日本は軟水地域のため味と香りが強く出てしまいます。海外で気に入った紅茶を日本でいれた時「あれ?」と思うことがあったとしたら水のせい。「日本の水道水に合わせて、風味を最大限に引き出せるようにブレンドしています」。
では、家庭でおいしい紅茶を楽しむには?「まず茶葉とお湯の量、抽出時間をきちんと測ること。お湯を5分以上沸かしてしまうのはタブー。酸素が飛んでジャンピングが起こりにくくなりますからね。お砂糖は甘みがほしい時に、ミルクは油分の多いお菓子と一緒の時にお好みで加えるといいでしょう。その時の気分に合ったお気に入りのカップ&ソーサーで、ゆっくりと紅茶を楽しんでくださいね」。
(スプーン2008年10月号に掲載)
〈参考文献〉
磯淵猛『紅茶事典』新星出版社
〈撮影協力〉セキスイハイム 庄内営業部 酒田営業所 酒田店
有地智枝子、高橋江里子=取材・文
text by Ariji Chieko, Takahashi Eriko
和島諭=写真
photograph by Wajima Satoru
日向香=デザイン
design by Hinata Kaori |
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あると便利なのが
茶葉の量をはかる道具
キャディースプーン。 |
 
ミルクティーにおすすめの茶葉・アッサムを使ったロイヤルミルクティー2杯分のいれ方です。まず水150ccを手鍋に入れます。そこにキャディースプーン山盛り1杯。または、ティースプーンで2杯(5〜6グラム)の茶葉を入れて、火にかけます。 |

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ミルクティーには
低温殺菌の牛乳を使うと
ライトな口当たりに。 |

火を止めて、鍋のフタをしたまま5分蒸らすことによって、茶葉が開き紅茶の風味がうまく抽出されます。それを確認したら、今度はミルクを200ml加え、また強火にかけます。この時、牛乳は低温殺菌のものを使うのがベスト。飲み口が軽やかになります。 |

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出来上がりまでもうすぐ。
鍋から目を離さず
火を止める時を見計らって。 |

鍋の中の表面に細かい泡が
立って、全体がこんもりと盛り上がってきたら沸騰直前。そこで火を止めます。ちなみに、日本の水道水=軟水でいれるとミルクティーは淡いベージュ色になりますが、硬水でいれると水色が濃くなりキャラメル色になります。 |

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いれ方をマスターしたら
お気に入りの茶葉で
自分好みのミルクティーを。 |

ストレーナー(茶漉し)を使ってカップに注ぎます。本来、紅茶を楽しむ時は予めカップを温めておきますが、このミルクティーの場合は十分熱くなっているのでそのままでもOK。ただし一度ポットに入れてから飲む場合は、やはりカップは温めるのが◎。 |
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