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 Home > バックナンバー > 「庄内湯の宿めぐり」 > 奥湯野浜温泉 龍の湯


取材・文=渋谷みね子
text by Shibuya Mineko
編集=高橋江里子
edition by Takahashi Eriko
写真=板垣洋介
photograph by Itagaki Yosuke
アートディレクション=日向 香
artdirection by Hinata Kaori
2004年1月号掲載 series.10

【今回お訪ねした温泉旅館】
 
【お話しをきいた方】 常務 筒井重浩さん

自分らしい宿泊スタイルを選びゆるりゆるりと時間が流れる心地よさ。

 ここは湯野浜。温泉街に向かう途中の交差点から山側に入り、住宅地の小道を2〜3分車を走らせ到着したのは、今宵の宿「龍の湯」。車を降りこの辺りの自然を眺めたとき、「湯野浜温泉」イコール「海の宿」のイメージは薄れ、奥深く様々な顔を持った温泉地であることを実感していくようです。

「龍の湯」は山間に佇むどっしりとした蔵造り。その重厚な構えと、しっくいとなまこ壁の白と黒のコントラスト、そして美しい木目をアクセントにした外観は、しっとりと落ち着いた雰囲気に包まれています。

 エントランスを抜けると広々と落ち着いたロビー。チェックインを済ませ、庄内に関する様々なパンフレットを手にとっていると「ようこそお越しくださいました」と穏やかな微笑みでこの宿の女将が話かけてくれました。ここで常連の方なら「またお世話になるよ」と楽しい会話が交わされていくのでしょう。

 湯治の宿として創業してから75年。昨年は建物を大幅にリニューアルし、よりいっそう心地良い宿として12月にオープンしました。改築途中から常連客からの問い合わせが殺到していたそうで、オープンを待ちわびたお客様に頂く「おめでとう」の言葉が心に沁みるという女将やスタッフたち。長年愛されてきた宿とお客様との心の繋がりを深く感じるところです。

 案内されたお部屋は広く落ち着いた純和風。他にも洋室や和洋室もあり目的に応じてセレクトすることができます。どのお部屋もプライバシーを重視し、スタッフが入ることはほとんどありません。我が家のようにくつろいでいられる安心感。気兼ねなく過ごしていただくのが最大のサービス、と心得るこの宿の姿勢が感じられます。部屋の洗面所にはちょっとした洗い物が出来るシンクや、冷水ポットのみの冷蔵庫を設置。お客様の立場にたった嬉しい配慮です。

 静養・保養の宿として人気を博す理由はお湯。この宿には種類の異なる2つの源泉が湧き、館内にある趣の異なる湯ぶねを満たしています。浴室は掛け流しの2つの内風呂、打たせ湯、露天風呂、そしてサウナと充実。ゆったりゆるゆる温泉三昧を満喫していくと、体が芯から温まっていきます。また館内では足湯を楽しんだり、檜の香りが溢れる貸切家族風呂も人気。癖がなく飲みやすい飲泉、リラクゼーションルームでのマッサージもオススメのコーナー。連泊しても湯の宿の醍醐味を飽きることなく味わうことができます。

 この宿のお料理は地元でとれた素材をふんだんに使った創作料理。朝昼夜とダイニング甍(いらか)でいただきます。ここは単独の和風レストランとしての機能もかねていますから、予約無しでも好きなものを注文しいただくことができます。また予約が必要なコース料理は、3種類を用意。他にも日替わり膳や三十種の単品を組み合わせ、連泊していてもその日の体調に合わせ無理のない食事を楽しめることが魅力です。さらに、オープンキッチンを設えてありますから、朝は出来たてのスクランブルエッグや焼きたての塩鮭をホカホカご飯でいただけると、お客様の評判も上々です。

 このようなお部屋、お食事、宿泊スタイルを自由に選択できるお客様本位のシステムは、日帰りや一泊のお客様にも満足していただきながら、滞在の宿としての機能を損なうことのない融通性がこの宿の魅力です。

「いろ寂し 安山岩の巌室に
 よき湯たたえて 人すくいをり」

 創業まもない頃、理想的な温泉地であることを称え、詠まれた和歌の精神はこの宿に受け継がれた重要な柱。個性的でありながらゆったり自由なスタイルは、お客様が望む自分流のくつろぎを満喫させてくれます。

この宿オリジナル温泉のアルカリ性単純泉はとにかく温もる。 フロントから続くロビー。居心地の良い空間
   
和洋室。散策もできる小高い山が季節の移ろいを観せる。 大山の酒蔵を移築し、雛人形展やサークル活動の発表の場として利用される蔵ギャラリー氷室。
   
三つの湯船とサウナを設い、遠くに潮騒を聞きながらゆっくりと浸る露天風呂。 龍の口から流れ出る飲泉。冷たく癖がなく飲みやすい。
   
全身つぼ療法と手足マッサージ「うたたね」ただいま人気上昇中。 メニュー豊富で季節の美味を堪能できるダイニング。予約なしでも利用可能。
   
夜のコースメニューから。 鯛の南蛮たれ。
 
ハタハタ田楽。できたてアツアツの料理が目の前に出される。
山形県鶴岡市 湯野浜温泉

 龍の湯の自慢は2種類の源泉。「アルカリ性単純泉」は旅館独自の所有で、効能は神経痛や冷え性など。もう1種の「塩化物泉」よりもやや低温ですが、温まりは同様に長持ち。味に癖がない為飲泉でも使用され、胃腸諸病に効果があります。
(文・高橋江里子)

奥湯野浜温泉 龍の湯

 水墨画の様な景観をみせる冬の湯野浜温泉郷。「奥湯野浜温泉 龍の湯」は平成15年12月8日リニューアルオープン。今年も3月1日〜4月4日に行われる「鶴岡雛物語」の一会場「蔵ギャラリー氷室」を併設しています(冬期間休館)。

住所 鶴岡市湯野浜2-4-47
電話番号 0235-75-2241
URL http://www.tatsunoyu.jp/
宿泊代 お一人様一泊二食付き
純和室 13,000円〜
※お部屋のタイプ、利用人数、シーズンにより異なる
部屋数 31室
チェックイン 15時
チェックアウト 11時

■「庄内湯の宿めぐり」バックナンバー


2003年4月号
湯どの庵
[湯田川温泉]
2003年5月号
游水亭 いさごや
[湯の浜温泉]
2003年6月号
萬国屋
[あつみ温泉]
2003年7月号
珠玉や
[湯田川温泉]
2003年8月号
海辺のお宿 一久
[湯の浜温泉]
2003年9月号
亀や
[湯の浜温泉]
2003年10月号
日本の宿 古窯
[上山温泉]
2003年11月号
天童荘
[天童温泉]
2003年12月号
九兵衛旅館
[湯田川温泉]
2004年1月号
龍の湯
[湯の浜温泉]
2004年2月号
名月荘
[上山温泉]
2004年3月号
たちばなや
[あつみ温泉]

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