コトコト ふぅふぅ はふはふ。
スプーンですくう、おいしい音。
冬のレシピといえば、鍋物やおでんが主役
級だが、「スープ」の存在だって欠かせない。ちょっぴり苦手な食材も、食べきれないビタミンも、とっておきのごちそうになるのだから。
酒田のグルメヒストリーでは定番処、カレー専門店「アルバ」。焼カレー人気の一方で、今、じわじわ支持を集めているのが「スープカレー」だという。北海道発祥のこのメニューは、カレーとごはんは別盛り、野菜はごろごろ具だくさん、というのが一般的。店主の高田豊彦さんいわく「一度食べるとハマるみたい」というそのワケは、スパイシーで濃厚なスープと、揚げたり茹でたりして旨味を引き出した八種類の野菜が絡み合う、その絶妙さ加減にある。食べ方は、ごはんを浸しても、そのままでもOK。「店を始めて二十六年。まだまだこれからも、新しいものをどんどん作っていきたいですね」。今後も、名店のホットな展開から目が離せない。
バランスのいい食事、という点でも“ごった煮”ができるスープ料理は魅力的だ。藤島の「オーデンス」で出される「本日のスープ」がまさにそれ。旬のとれたて有機野菜を何種類も使いながら、やさしくシンプルな風味が、飽きがこないと評判で、毎日コーヒー代わりに飲んでいく人もいるのだとか。「野菜の甘味と旨味だけで、優れた調味料になるんですよ」。そう語る今野多美子さんは、自家野菜やハーブ、雑穀米などを使ったマクロビオティックの理念と、洋食や軽食の楽しさを併せ持つ、新しいタイプの料理を提案している。「『食べること』の大切さを、身土不二という形で伝えたくて」。その一皿には、自然の恵みが濃縮されている。
ポトフはスープか、洋風おでんか。そう考えるより先に、足湯につかって食べる、というシチュエーションに注目してほしい。あつみ温泉街の「Chitto Motche(チット・モッシェ)」は、その名の通り、ちょっとおもしろい趣向で話題のスポット。「あつみ温泉では、そぞろ歩きの楽しい街づくりを目指しています。三ヵ所の足湯を巡って、温泉街の湯けむり旅情を楽しんでほしいですね」。歩いたらちょっとひと休み、がこの足湯カフェの楽しみ方だと、店主の加藤友也さんは言う。足湯につかってコーヒー片手に談笑したり、店内で小腹ごなしをしたり、ギャラリーで地元作家の作品を鑑賞したりと、みんな、ゆっくり気ままに時間を過ごしていた。
スープは、主役にも脇役にもなる、食卓の人気者。その芸の深さが、体中を目覚めさせる。 |
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